[表紙] 
4 (1975)
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[P1] 
LoveTime 01
何となく憂うつな毎日が続いています。 東京ではもう梅雨に入ってます。 そして毎日曇り空しか見えないのです。 今月の雨は長びくそうで、いっそう憂うつになってしまいます。 ロンドンでは、この間雪が降ったそうですね。 皆、風邪をひかなかったでしょうか。
 
サテ・・・
 
今回の会報は、Pete についての特集です。Pete について多くのおたよりを送っていただきました。一通一通読んでまして改めて Pete の死の大きさを感じました。皆さんはどんな感想をお持ちでしょうか。
 
また感想などがありましたら、編集室までお送り下さいませ。   会長・本木 
 
 
 
ワーナー・パイオニアよりまだ Pete の死因についての詳しい情報が入ってきませんが、ワーナーへ移籍したことに原因があるようです。Badfinger のリーダーとして苦しんでいたのでしょう。
 
1975.4.24  ピート・ハム死亡
Pete のいなくなった Badfinger
でも、僕たちの心のなかには
思い出が残っている。    編集キャップ・渋谷 
 
 
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[P2] 
LoveTime 02
哀愁のアイビーズ   ワーナー・パイオニア宣伝課・横地
 
5~6年位前になるでしょうか。僕が初めてアイビーズをきいたのは。ラジオから流れていたのは「美しく青く」という曲でした。ちょうどその時、僕はビージーズを初めてきいた時と同じ印象をうけたものでした。「ニューヨーク炭鉱の悲劇」がそれでした。余りにもビートルズ的だったので、友達に早速きかせに走った事を憶えています。もちろん「ビージーズ・ファースト・アルバム」のサンプル盤をです。後になって、この「美しく青く」が一番ビートルズ+ビージーズ的なのだということに気がつきました。
 
僕が一番好きなアルバムは「マジック・クリスチャン・ミュージック」です。このLPにはB4のポール・マッカートニーの曲、アイビーズ・ファーストより7曲、その他未発表曲というように、バッドフィンガーというよりアイビーズのLPなのです。「明日の風」「雨の散歩道」などのなんともいえない素朴な歌声、このグループこそ僕の一番好きな言葉 (哀愁) が売り物の唯一のグループと思っていたら、「ノー・ダイス」「ストレート・アップ」ときてしまった。このグループは少しでも大げさに、生意気的に演奏してほしくはなかったのです。あくまで、こじんまりと控え目に、僕にとっては日の目を見ないでもよかったグループなのです。  思い出のアイビーズよ!
 
 
 
 
前略、 
私は旧会員です。早いものでBFとともに5年間生き続けてきました。その間にはいろいろのことがあったけれども、そんな時もいつもBFと一緒でした。ほんとうに私はBFのことを心から愛してきました。
 
しかし、悲しいことは突然やってくるものですね・・・ あの Pete がどうして・・・なぜ自殺なんかを・・・ ほんとにあんなにやさしい人が自殺なんかをしたのでしょう。Pete の死は、私自身の死と同じです。私にとっては・・・
 
しかし私は、長い人生の間に Pete のことを忘れる日は一日もないでしょう。これから先、Pete を、そしてBFをもっと今以上に見つめたいと思います。書こうと思うことはいろいろあるのですが、Pete のことで頭がいっぱいで考えがまとまりません。
 
今日は、この辺で失礼します。
 
[F.C.名古屋支部より]   どうもありがとうございました。しかしせっかくお手紙をいただいたのに名前も住所もありません。いますぐ名古屋支部までお知らせくださいね。
 
 
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[P3] 
LoveTime 03
Why? Pete!   東京・本木
 
Pete と私との つきあい が始まったのは、中三の春でした。Badfinger とは、もう4年半、でも Pete とはたった3年間の つきあい でした。
 
初めて Pete と会ったのはレコード店。 Day After Day を聴いて Paul と間違えて、はしゃいでいたのを覚えています。そして12月の初め、たまらなくなって母から借りたお金で Straight Up を買いました(結果としては母が買ってくれたということになりましたが)。Beatles の袋に入れて持ち帰りました。Beatles 以外のレコードを買ったことのなかった私は、大変な罪を犯したようで、Beatles が自分から離れてしまったようで。でも一方では、Pete の声にうっとりし、Badfinger との本当の であい に何ともいえない興奮を感じていました。
 
このときからです。私が Badfinger を愛するようになったのは。Badfinger 、特に Pete の歌は、他のそれとは全然ちがっていました。私を 実際にこの人たちに会いたい という気持ちにさせるのです。なんだ、そんなことかと思うかも知れません。でも、それまであれほど好きだった Beatles でさえも、私をそんな気持ちにはさせませんでした。 そして、今日まで私をこんな気持ちにしたのは Pete だけなのです。 Pete に会えなくなってしまった今。私に残されているのはレコード。レコードを通じて 会う ことだけが許されているたったひとつの方法。
 
でも、私はそれでも幸せです。あのやさしい声、すみきったギター、静かに流れてくるピアノの音を通して Pete に触れることができるのですから。
 
 
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[P4] 
 
追悼   ごめんね Pete、そして さよなら Pete   神戸・時光
 
Pete が自殺したということは、まさに商売が成り立たなかったからで、なんとも残念だ。僕は一生懸命、出るレコード全部買って感激していたのに・・・。
 
Day After Day の Straight Up 以後数年の間、自分たちの力を向上させるためにレコードを作らずに、ファンをやきもきさせて、うまくなったとは思うが、何といっても本当にバッチリと決まった曲がなくって残念でした。 失敗の原因は、うるさくなりすぎたことと、ヘタなロックンロールをやったこと等々、「昔のようにわりとスローで甘い曲を作れば売れるであろうに」 と思ったものだ。外国の人の評をみると詞がしょうもないということで、それも原因の一つだろう。
 
Pete といえば、バングラデシュ・コンサートのあのシーンを思い出す。ジョージと一緒に Here Comes The Sun をやった、あの首をふりふり頑張っていた Pete 。 Without You や Day After Day, No Matter What, Baby Blue と、いい曲ばかり書いていたのに。
 
マジック・クリスチャンの映画の中で 明日の風 がかかる、リンゴとピーター・セラーズの橋の上での出会い。あの曲は涙が出てくるよ。Badfinger とは信じられなかったもの。
 
Without You, Pete! お前なしでは Badfinger はあるのかよ!
 
 
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[P5] 
 
旧会員・赤松
まず最初に Pete Ham 氏の冥福を祈らなければならないだろう・・・
 
僕がロックを聴き始めたのは、1972年の春だった。それまではバカラックやポール・モーリアなどのイージーリスニングが主だった。そして、その初めてのロックが Badfinger だったのである。Day After Day がひっきりなしにラジオから流れていて思わずレコードを買ってしまったのが僕と彼らの出会いだった。
 
聴けば聴くほどよくなり、偶然ラジオで耳にした Baby Blue も欲しくなってしまい、Straight Up を買って Magic Christian Music を買って。そうなるともう頭の中は Badfinger でいっぱい。彼らの歌ばかり歌っていた。僕はその頃から4人の中でも特に  Pete が好きで、友人から顔がPete に似ているなんていわれて、声も似せたりしていた。そして No Dice を買った頃には、映画「バングラデシュのコンサート」が上映されて見に行って満足したものだった。その頃は世界中でグラム・ロックが流行していて、ギンギンに飾り立てたグループが多い中で、地味に、そしてコンスタントに活動していた Badfinger がより好きになっていった。音楽評論家の多くも彼らを高くかっていたし、有名人やミュージシャンにも彼らのファンはたくさんいた。
 
そんなわけで、僕は Badfinger の音楽を心から愛し、人間性をも愛していた。その Badfinger の中で、リーダーであり音楽的にも中心人物の Pete Ham が一番好きだった。彼の送り出す音楽は、いつもシンプルで美しい。バラードの時はもちろんだが、ヘビーなロックンロールの時にも美しいメロディを決して忘れない。
 
Pete の曲で僕の特に気に入ってるのは Without You, Carry On Till Tomorrow, Walk Out In the Rain, Knocking Down Our Home, Name of the Game, No Matter What, Day After Day などだが、そのどれもがポール・マッカートニーも比べものにならないくらいに最高にビューティフルなサウンドで満ち満ちていた。それは無論、Tom, Mike, Joey という固い友情で結ばれた3人や名プロデューサーの協力があってこそなのだが。
 
僕は Pete に実際に会ったこともなければ話したこともないが、全体の雰囲気からの印象は、温和な人柄で、他人に気を遣ってくれて、それでいてデリケートで、どこか影があるような人ではないかと思う。彼はメロディメイカーとしてだけでなくギタリストとしてもなかなかよいギターを弾いていた。そんな Pete がなぜ死んでしまったのだろう・・・。それも自殺なんて。
 
原因は想像もつかない。ワーナーに移籍してからもレコードも快調に出たし、サウンドもより洗練され、ベテラングループの格さえついてきたという時に、Tom や Mike や Joey にも打ち明けられない、まだ陽気にピアノでも弾いているような気がする。しかし Without You や Name of the Game を聴いていると涙があふれてしまう。スタンダードナンバーにまでなった曲の、その作曲者 Pete Ham はやはり僕の最高に尊敬するミュージシャンであり、最も好きなグループのリーダーだった。僕にとっては、パープルよりもツェッペリンよりもストーンズよりもEL&Pよりも何よりもステキな君だったのに。
 
彼の葬式には誰が参列しただろうなどと考えてしまう。メンバーの他に、その奥さん、ジョージやポール、トッドやクリス・トーマス、ビル・プライスやマル・エバンス、アップルやワーナーの人、他にもミュージシャン仲間、彼の使っていたギブソン・レスポールやSGはどうするのだろう。善人は早死にするというが、これでロックミュージシャンで他界した人はかなりになるだろう。Badfinger はやはり解散するだろう。Pete なしでは続けるのは無理だと思う。
 
僕の最愛の人、最高のメロディメイカー、ウェスタンシャツとジーンズとサスペンダーの好きだった Pete 、安らかに眠りたまえ。 そして Tom, Mike, Joey の前途を祈って、Pete Ham 氏の追悼を終わり、Badfinger の歴史にピリオドを打つものとします。
 
 
 
後半へ