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バッドフィンガー Badfinger / Badfinger  Expanded Edition (December 26, 2018) 
2018/12/26   CD   ATOZ: ATOZ113     涙の旅路 Badfinger [Expanded Edition] 
ATOZ113
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バッドフィンガー Badfinger / Wish You Were Here  Expanded Edition (December 26, 2018) 
2018/12/26   CD   ATOZ: ATOZ114     素敵な君 Wish You Were Here [Expanded Edition] 
ATOZ114
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Badfinger WB ad
 
バッドフィンガーの2枚のワーナー盤の ボーナス追加拡張版の発売です。 

バッドフィンガーの伝記を書いたダン・マトビナが本職のエンジニアとしてオリジナル・マスターテープからリマスター。同時に、この2枚のアルバムをプロデュースしたクリス・トーマスから新たに取材し、その引用を含むライナーも書いています。 
 
Badfinger (the album), will deliver the original album and add in ten bonus tracks, most being “works in progress”. One of the songs, “Love My Lady” is an outtake from the original recording sessions.  
 
2018年11月02日→11月30日発売  [輸入盤] Real Gone Music: RGM-0757 
2018年11月28日→12月26日発売  [帯ライナー付国内盤仕様] ATOZ: ATOZ113 
 
バッドフィンガーとクリス・トーマスの出会いは、プロコル・ハルムのアルバム 'グランド・ホテル' だった。 
 
「アップルのA&Rチーフのトニー・キングから 'グランド・ホテル' を聴かされ、気に入ったので家に持ち帰ってピートにも聴いてもらったんだ。彼もすごく気に入り、自分たちでプロデュースしていた 'アス' をクリス・トーマスにやってもらったんだよ」とトム・エバンスは説明している。ジョーイ・モーランドも「クリス・トーマスをプロデューサーに選んだのはトムだったかも。バッドフィンガーのアルバム・タイトルもほとんど彼のアイデアだし、トムは常にいろんなことに気を配っていたよ」と。ワーナー第一弾アルバムのタイトルは 'For Love or Money’ の予定だった。これまで知られていなかったジャケットカバーのモデルに関しては  こちら。 

Tracks 1-12 from Badfinger 「涙の旅路」, Warner Bros. LP BS 2762, 1974 
Tracks 13-22 previously unreleased 
 
01. I Miss You  涙の旅路 
  もともとはピートが1967-8年に書いた曲。当時の恋人ビバリーは「ピートとしばらく別れていた時に書かれた曲なんです」と語っている。「ワーナーがこれをシングルにすると聞いて僕は本当に憤慨したよ。ワーナーに "これはピートひとりで全部演奏しているからバッドフィンガーじゃない。シングルにすべきじゃない" と訴えたよ」とはジョーイの言葉。 
 
02/14. Shine On シャイン・オン 
  ピートとトムがシングル発売を念頭に一緒に書いた。録音中、元アイビーズのロン・グリフィスがスタジオに立ち寄ったとのこと。'ロンリー・ユー' と並ぶ、このアルバムでの人気曲。フジテレビで1974年に放送された [世界の舞台裏] ビートルズ王国の若者たち バッドフィンガー でのこの曲の練習風景(撮影は1973年夏)は主にピートにフォーカスし、短い映像の中に彼の様々な表情を捉えている。必見。ピートの娘のペトラも、特に好きな父の曲として 'デニス' とともにこの曲を挙げている。 
 
03. Love Is Easy ラヴ・イズ・イージー 
  ヨーロッパ向けにシングル・カットされたジョーイの曲。南アフリカや南米の一部の国でも発売された。レコーディングの前日に書いたとのことで「作り始めて24時間経ってないんだから、本当の新曲だね。ギターはファイヤーバードを使っている。スタジオで思いついたギターリフを弾いていたら、みんな "お、いいね" って。それでそのリフを基に速攻で作ったんだ。最後の歌詞なんてまだ完成してなかったから、ドゥードゥーダーダダーダーって歌ってるよ」 
 
04/15. Song For A Lost Friend 夢はいずこへ 
  ピートの曲。ビバリーによると、最初は 'You Had a Dream' というタイトルで、「私たちふたりのことを歌っているとピートは言っていました。アルバム完成直前、私が結婚のためアフリカに出発後、タイトルが変更されました」とのこと。 
 
05. Why Don’t We Talk? ホワイ・ドント・ウィ・トーク 
  トムの曲。最初の歩いている部分は、トムがカセットレコーダーで録音しながらオリンピック・スタジオに入る音。ギターのソロはピート。「'ホワイ・ドント・ウイ・トーク' の替りに 'ホワイ・ノット・イート・ポーク' とコーラスした箇所もあるから探してみてね」とはジョーイの言葉。探したら確かにあった。  
 
06/16. Island アイランド 
  ジョーイの曲。「深夜にアイデアを思いついて、すぐにプラグをつないでギターを弾いたから、みんなを起こしてしまったよ。誰かを愛するとそれ以外の世界は目に入らなくなるよね。アイランドは二人だけの世界だよ」と解説している。 
 
07/17. Matted Spam (BBCでのライブしか見つからない)  マッテッド・スパム 
  ピートの曲。ピートのギターはストレートのリズムで、ジョーイのギターはちょっとファンキーなリズムとのこと。ボビー・キーズ、ジム・プライス、ジム・ホーンなども参加している。「サキソフォンのソロはジム・ホーン。彼はもう1回演ろう、別のソロをもう1回演ろうって、結局12種類のソロを演ってくれたよ。どれも素晴らしくて選択に困ったよ」とはジョーイの言葉。 
 
08/18. Where Do We Go From Here? さすらいの道 
  トム作。「スティール・ドラムを使ったのは僕のアイデアだよ。トムも賛成してくれた」とジョーイ。スティール・ドラムはクリス・トーマスがロンドンで雇った、ジャマイカのミュージシャンらしい。 
 
09/19. My Heart Goes Out マイ・ハート・ゴーズ・アウト 
  マイク作。マイクは「フィンガーピッキングで弾き、弦のノイズも残していたんだ。だけどクリス・トーマスはミキシングで手を加えてしまった。それはちょっと不満だね」と語っている。バックに聞こえるオルガンのような音は、エレクトリック・ギターにクリス・トーマスがエコーをかけたもの。 
 
10/20. Lonely You ロンリー・ユー 
  ピート作。彼が1973年夏に付き合っていたゾーイという名のロンドン娘(ビートルズ王国の若者たち バッドフィンガー にも登場している)と別れた後、彼女を傷つけてしまったと感じ、彼女へ向けて書いたもの。このアルバムでは最も人気がある曲で、ジョーイも「この曲ならヒットしたんじゃないかな」と語っている。 
 
11/21. Give It Up ギヴ・イット・アップ 
  ジョーイ作。物質主義についての歌だそうだ。「まず僕が歌とリズムギターの部分を録音し、その後に53年製のレスポールでリードギターをオーバーダブ。次にピートのストラトキャスターがリズムを入れ、トムとピートがバッキング・ボーカル」 
 
12/22. Andy Norris アンディ・ノリス 
  クリアウェル城にいた頃、ジョーイがキャシーと一緒に書いた曲。「オリンピック・スタジオのテープ・オペレーターのアンディはいつもピアノの上に乗ったり馬鹿なことばかりやる面白い男だった。彼の名前をタイトルにしたつもりだったんだけど、実はアンディ・モリスという名前だったと後に判明したよ」 元アイビーズのロン・グリフィスがスタジオに招待された時、この曲をミックスしていたとのこと。ロンは「僕もベースを演奏したのは確かだけど、それが使われたのかどうかはわからないんだ」と語っている。 
 
13. Love My Lady – unreleased song outtake 
  トムの曲。'ラブ・イズ・イージー' と同じ1973年の夏の終わりにオリンピック・スタジオで録音。'Oh Wow' とも呼ばれていた曲。 


14. Shine On – work in progress mix 
15. Song For A Lost Friend – work in progress mix 
16. Island – work in progress mix 
17. Matted Spam – work in progress mix 
18. Where Do We Go From Here – work in progress mix 
19. My Heart Goes Out – work in progress mix 
20. Lonely You – work in progress mix 
21. Give It Up – work in progress mix 
22. Andy Norris – work in progress mix 
14-22: 製作途中のアウトテイクスミックス 
1974 Warner Brothers records album ad pinup poster A2
 
 
 
Wish You Were Here will provide the original nine tracks remastered and expand it with a more luxurious offering of nine 2018 alternate mixes, and one unreleased song, “Queen Of Darkness”, newly mixed in 2018, all exclusively for this reissue package.  
 
2018年11月02日→11月30日発売  [輸入盤] Real Gone Music: RGM-0758 
2018年11月28日→12月26日発売  [帯ライナー付国内盤仕様ATOZ: ATOZ114 
 
「米ツアーが終わった1974年春、帰国せずにカリブ・ランチのスタジオに直行。滞在中の生活は、ジョーイと私、ピートとアン、それにプロデューサーのクリス・トーマスが同じロッジ。トムとマリアンヌ、マイクとゲイナーの4人が一緒に別のロッジ。ビル・コリンズだけはそれとはまた別の場所でした」との説明はキャシー・モーランド。ジョーイによると「カリブ・ランチというのは全体が一つの施設なんだ。スタジオも建物も宿泊設備も牧場も全部まとめてのレンタルなんだよ。だから僕たちのレコーディング中は他のアーティストはいないんだ。みんなで乗馬もしたし、春の終わりなのにスノーモビルにも乗れたよ」
クリス・トーマスはこの前後、サディスティック・ミカ・バンドの '黒船' をプロデュースしており、ミカによると、録音はミカ・バンドと同時に1974年2月から6月終りまで。その間クリス・トーマスは4月にミカ・バンドを一時ストップし、カリブ・ランチのバッドフィンガーの元へ。約一ヶ月のレコーディングのあと再び日本へ戻り '黒船' を完成させ、ロンドンのエア・スタジオへ飛んだとのこと。ミカも6月に合流し、毎晩スタジオで騒いでいたとか。 
クリス・トーマスは、「アビイ・ロード風に仕上げるために、曲の断片でもアイデアだけでもいいので、できるだけ提出してくれ」とバンドに伝えていたそうだ。 
 
Tracks 1-9 from Wish You Were Here「素敵な君」, Warner Bros. LP BS 2827, 1974 
Tracks 10-19 previously unreleased 
 
01/11. Just A Chance これがチャンス 
  ピートの曲。「ツアー前から始まっていたピートとローディのイアン・ファーガソンの妻のアンとの不倫についての曲だと思うんだ」とジョーイは言っている。アメリカではシングル発売も計画されていたようで、ワーナーにはテストプレス盤も存在していたとのこと。 
 
02/12. Your So Fine 素敵な君 
  マイク作曲。ジョーイによると、バッドフィンガーの曲で唯一、ピートと一緒にリードボーカルを取っているとのこと。「楽しかったよ。でもPeteと一緒に一本の録音マイクで歌ったのは、それが最初で最後になってしまった」 その翌日、バッキング・ボイスとブリッジ部分をジョーイが録音。「フィンガー・ピッキングはキャシーと知り合った時に彼女から習ったんだよ。ラップ・スティールのソロも僕が演奏」 日本では '誰も知らない' のシングルB面にこの曲がクレジットされているが、実際に収録されているのは 'これがチャンス' だというがある。 
 
03/13. Got To Get Out Of Here もう会いたくない 
  ジョーイがカリブ・ランチに来てから書いた曲。「僕は音楽をしたいだけ。だからバンドの現状だけが気になっていた。それ以外は興味ない。ビル・コリンズやスタン・ポリーの考えなんてどうでもいい。第三者の思いなんてどうでもいい」というメッセージ。米国のテストプレス・シングルのB面収録曲。 
 
04/14/19. Know One Knows 誰も知らない 
  日本でのシングル曲。発売当時の日本でのヒット状況は、「'明日の風' には及ばないが  'ベイビー・ブルー' とは互角」というのが僕の当時の感覚だった。この曲は最初 'No One Knows Me' というタイトルで、ピート自身のことを歌ったものだったが、すぐにアンへの愛を綴る歌詞へと変更された。「ピートは二週間スタジオで毎日逢っていても何も話さない人。そんなピートが "頼みたいことがあるんだけれど" とノートを持ち出し、この曲を日本語に訳してくれって。'誰も知らない' を和訳すると、クリスが何かトムと相談し、ミカ・バンドの '墨絵の国へ' のように話し声で読んでくれというので読んだところ、"OK、録音したから" っていったの。あっという間のことで、これをシングルカットしアメリカ用にすると騒いでいるではありませんか」とミカが1974年に書いている。ジョーイは「僕が '誰も知らない' の歌詞を日本語にして入れたらどうかって提案したんだ。日本語がほんとにきれいに聞こえたからね。言語として聞こえる音がとても美しいと感じたんだよ。僕のアイデアにはみんな賛成だった。それ以来ミカには一回も会ってないな」と1999年に書いている。ミカの朗読が入る前の '誰も知らない'  
 
05/15. Dennis デニス 
  ピートがカリブ・ランチで書いた、アンの息子ブレアを歌ったこの曲のオリジナル・デモはエンディングがとても長いとのこと。「32小節程で徐々にゆっくりになって終わるんだ。ピートが自分のパートのバックアップボーカル、トムと僕ももう一本のマイクで一緒にバックアップボーカルを録音」とジョーイは語っている。アンによると「息子のブレアがスタジオの風船ガムの自販機に私の財布を持って行き、小銭だけ全部使ってガムを買ってくるのがおかしくて、ピートとふたりで一緒によく見ていたんです」 それが曲のアイデアの始まりだとか。タイトルをデニスにしたのは、ピートが 'ベイビー・ブルー' の歌詞でディクシーの名を使って以来、もう二度と知人の名前は使わない方がいいと決めたため。「だからブレアではなく、テレビの 'わんぱくデニス' の主人公のいたずら好きな少年の名前を使ったのです」とアンは説明する。ピートの娘のペトラ(ブレアの妹にあたる)のお気に入りの曲でもある。 
 
06/16. In The Meantime/Some Other Time そのうちに そして いつの日か 
  マイクの曲とジョーイの曲のメドレー。始めのオーケストラの音合わせはクリス・トーマスのアイデア。編曲はアン・オデールという女性。「クリスが彼女にストリングスとホーンのアレンジを依頼したんだよ。曲の最初は各楽器がラの音を鳴らしているんだ。エア・スタジオでのオーケストラ録音はみんなで見たけど、素晴らしかった。バッキング・トラックはカリブ・ランチでやったんだ。メドレー前半はマイクがリード・ボーカルで、他のみんなも歌ってるよ」とジョーイは回顧する。マイクは「クリス・トーマスは俺に 'イン・ザ・ミーンタイム' のボーカルをやらせようとするんだ。"俺はシンガーじゃないんだから、他の誰かに歌わせればいいだろ" と答えたよ。でも、彼に押し切られて自分で歌ったよ。クリスは最高のものを引き出してくれたね」と説明。一方ジョーイは「後半は僕とバンドとのつながりや、スタン・ポリーとの関係を僕が感じたまま歌っているんだ」と解説。ふたりの曲が一緒になっているのは、2曲がピッタリとハマったからだそうだ。 
 
07/17. Love Time 愛の時間 
  カリブ・ランチ滞在中のジョーイが寝室で思いついた曲とのこと。「ピートがソロを弾いている。たぶん彼はこの種の曲が好きだと思うよ。心がこもっているね。彼はバッキング・ボイスもやってるよ」
 
08. King Of The Load (T) キング・オブ・ザ・ロード 
  トムの曲。タイトルにくっついている謎の (T) についてはいくつかの説がある。「作者名の(Tom)を示す記号が残ってしまったミス」説や、「ローディを歌った曲で、当時のバッドフィンガーのローディだったティムのイニシャル」説が有力。ジョーイはローディではない人物を歌った曲だと考えている。「カリブ・ランチで知り合った男のことを歌ってるんじゃないかな。確かジェフとかいう奴だ。僕は彼とはそんなに会ってないから詳しくは知らないけど、この歌そのものって感じの男だったよ。彼は浮浪者みたいな奴だった。でも浮浪者じゃないんだ。服装はもっとちゃんとしていた。彼は働かない。お金も持っていない。流れ者とかコソ泥のたぐいかもね。薬の売人ってことはなかったと思うよ」
 
09/18. Meanwhile Back At The Ranch/Should I Smoke 牧場に戻ろう~シュッド・アイ・スモーク 
  ピートの曲とジョーイの曲のメドレー。初期段階ではトムも歌っていた。「トム・エバンスがシュッド・アイ・スモークの一部分を歌っているテープが発見された。この部分はジョーイのスタイルというよりもトムのスタイルである。実際はトムが作った部分である可能性が高い。トムはこのアルバム制作中にしばらくバンドから離れていた。しかし完成のためにはボーカルを入れねばならないので、トムが抜けている間に残りのメンバーで録音されたのだろう」とダン・マトビナは推測している。クリス・トーマスに提出された曲の断片を組み合わせてメドレーにしたなら、トム作の部分も含まれていて欲しい。[アドバンス盤を聴いた人によると、トムのボーカル版ではなく、ジョーイのリードボーカルが最終盤とは違うものだったとのこと]  
 
10. Queen Of Darkness – unreleased song mixed 2018 


11. Just A Chance – alternate mix 2018 
12. Your So Fine – alternate mix 2018 
13. Got To Get Out Of Here – alternate mix 2018 
 
14. Know One Knows – alternate mix 2018 
15. Dennis – alternate mix 2018 
16. In The Meantime / Some Other Time – alternate mix 2018 
17. Love Time – alternate mix 2018 
18. Meanwhile Back At The Ranch / Should I Smoke – alternate mix 2018 
19. Know One Knows – alternate Single mix 2018 
11-19: マルチトラックのパートの内、最終ミックスに使われなかった部分や使われても埋もれている部分を聴くことができる2018年ミックス 
1974 Warner Brothers records album ad pinup poster B2
 
「俺たちの作曲スタイルはビートルズの真似じゃないよ。俺たちのやり方だったんだ。それはアルバム '素敵な君' で大きく開花したんだが、そこで終わってしまった。悲しいけど現実だね」--- マイク・ギビンズ 2001 
 

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