集英社文庫コバルトシリーズ 
ビートルズグラフィティ (1981年6月15日 発行) 
名田貴好・橋倉正信 編 
Beatles Graffiti cover obi
Beatles Graffiti
日本ではメリー・ホプキンに次いで知られていたのがバッドフィンガーです。彼らは68年にアップルと契約した当時はジ・アイビーズと名乗っていて、69年3月15日付けのビルボード誌で最高67位を記録した「メイビー・トゥモロウ」をヒットさせています。この曲はアメリカで発売3日間に25万枚を売ったと言われていますが、当時はアート・ロックやR&Bの嵐が全米に吹き荒れた時期なので、彼らの陽気なサウンドに人々はホッと一息ついた結果ではないでしょうか。 
 
70年1月にリンゴ・スターがピーター・セラーズと共演した映画「マジック・クリスチャン」の音楽をポール・マッカートニーと共に担当、テーマ曲「カム・アンド・ゲット・イット」(ポールの作品)を歌うのを機にバッドフィンガーと改名しました。この曲で日本のファンの間にも彼らのことが知られるようになったわけです。それ以降にも「ノー・マター・ホワット」「デイ・アフター・デイ」のヒットを飛ばす一方、ジョージ・ハリスンのソロ・アルバム「オール・シングス・マスト・パス」や、リンゴ・スターのシングル「明日への願い」などのレコーディングに参加しています。ジョージが中心になってニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで開催されたバングラデシュ・コンサートにも、リンゴやエリック・クラプトン、ボブ・ディラン、レオン・ラッセルらと共に参加、ライヴ盤にも演奏が収められています。 
 
アップルからワーナー・ブラザーズに移籍直後の75年5月にリーダーのピート・ハムが自殺、グループの活動は停止したままでしたが、残った3人のうちマイク・ギボンズを抜いたトム・エヴァンスとジョーイ・モーランドのふたりのデュオ・グループとして再結成されたのが79年のことです。 
 

★★